Ubuntu Server（ウブントゥサーバー）

2025年11月1日

Ubuntu Server（ウブントゥサーバー）

英語表記: Ubuntu Server

概要

Ubuntu Serverは、世界中で広く利用されているLinuxベースのサーバOSディストリビューションの一つです。これは、私たちが今学んでいる「サーバOSの種類」の中でも、特にオープンソースで柔軟性が高い「Linuxサーバディストリビューション」に分類されます。安定性と高いセキュリティ、そして使いやすさが特徴であり、特にクラウド環境や大規模なデータセンターにおいて、ウェブサーバーやデータベースサーバーの基盤として絶大な人気を誇っています。

詳細解説

サーバOSとしての役割と位置づけ

私たちが「サーバOS（Linux Server, Windows Server）」という大きなカテゴリーの中で、なぜ特定のディストリビューションを学ぶ必要があるのでしょうか。それは、サーバーの用途や規模に応じて最適なOSを選ぶ必要があるからです。Ubuntu Serverは、その中でも「Linux サーバディストリビューション」の一員として、非常に重要な位置を占めています。

Ubuntu Serverは、主にイギリスのCanonical社によって開発・提供されています。その基盤は、安定性に定評のあるDebianという別のLinuxディストリビューションにありますが、Ubuntuはより頻繁なアップデートと、長期サポート（LTS: Long Term Support）版を提供することで、企業利用における信頼性を高めています。LTS版は通常5年間のセキュリティアップデートが保証されており、一度導入すれば長期にわたって安心して運用できる点が、システムの安定稼働を最優先するサーバー環境において非常に魅力的です。

動作原理と主要コンポーネント

Ubuntu Serverの最大の特徴は、デフォルトではグラフィカルユーザーインターフェース（GUI）を持たず、CUI（コマンドラインインターフェース）のみで動作する点です。これは、サーバー用途に特化することで、メモリやCPUといったシステムリソースの消費を最小限に抑えるための設計思想に基づいています。リソースをOS自身ではなく、提供したいサービス（ウェブサービスやアプリケーション）のために最大限活用できるわけです。これはサーバーOSの選択肢として非常に重要な視点ですね。

主要なコンポーネントとしては、Linuxカーネル（OSの核となる部分）はもちろんですが、特に注目すべきはパッケージ管理システムです。Ubuntuでは「APT (Advanced Package Tool)」というシステムを利用しています。これは、必要なソフトウェア（例えば、ウェブサーバーソフトのNginxやデータベースのMySQLなど）を、インターネット経由で簡単かつ安全にインストール、更新、削除するための仕組みです。これにより、システム管理者は複雑な手作業なしに、必要なサービスを迅速に展開できます。

また、セキュリティ面では、ファイアウォール管理ツールであるUFW（Uncomplicated Firewall）や、強制アクセス制御を担うAppArmorといった機能が標準で組み込まれています。オープンソースでありながら、エンタープライズレベルのセキュリティ機能が提供されているのは、多くの開発者コミュニティに支えられている証拠であり、非常に心強いポイントだと感じます。

なぜUbuntu Serverが選ばれるのか

Linuxサーバディストリビューションの中には、Red Hat Enterprise Linux (RHEL) や CentOS など、他にも強力な選択肢があります。しかし、Ubuntu Serverがこれほど普及した背景には、その「使いやすさ」と「広範なサポート」があります。デスクトップ版Ubuntuのユーザーが多いため、サーバー版に移行しやすいこと、そして世界中のクラウドプロバイダー（AWS, Azure, GCPなど）がUbuntuを公式イメージとして提供しているため、クラウドでのデファクトスタンダードの一つとなっています。これは、私たちがクラウドを利用してサービスを構築する際に、最初の選択肢として検討すべき理由となるでしょう。

具体例・活用シーン

Ubuntu Serverは、その汎用性の高さから、ITインフラストラクチャの「縁の下の力持ち」として多岐にわたるシーンで活躍しています。

ウェブサーバーおよびアプリケーションサーバー:
最も一般的な利用法です。LAMP（Linux, Apache, MySQL, PHP/Python/Perl）環境や、モダンなコンテナ技術（DockerやKubernetes）のホストOSとして利用されます。高速で安定したウェブサイトの公開基盤として、多くの企業が採用しています。
データベースサーバー:
PostgreSQLやMongoDBといったデータベースをホストし、大量のデータを処理するバックエンドシステムを支えます。高いI/O性能と安定性が求められる環境で信頼されています。
クラウドインフラストラクチャ:
Amazon Web Services (AWS) や Microsoft Azure、Google Cloud Platform (GCP) などの主要なクラウドサービスでは、Ubuntu Serverが最も人気のあるゲストOSの一つです。クラウドの柔軟性とスケーラビリティを最大限に引き出す設計になっているためです。

初心者向けのアナロジー：高性能な調理場

Ubuntu Serverの役割を理解するために、これを「プロ仕様の高性能な調理場」に例えてみましょう。

私たちが学んでいる「サーバOS」全体は、サービスという名の「料理」を作るための「調理場」です。Windows Serverが、多くの便利な家電（GUIや設定ツール）が最初から揃っている「高機能なパッケージ型キッチン」だとすれば、Ubuntu Serverは「最小限の設備（CUI）しかないけれど、シェフ（管理者）が望むどんな調理器具（ソフトウェア）でも自由に持ち込み、最適な配置で設置できるカスタマイズ性の高いプロの調理場」のようなものです。

この調理場（Ubuntu Server）は、無駄な装飾（GUI）がないため、非常に広々としており（リソース消費が少ない）、すぐに料理（サービス）に取り掛かれます。もしウェブサイトという名の「ケーキ」を作りたければ、APTという「便利な宅配サービス」を使って、必要なミキサー（Nginx）やオーブン（PHP）をすぐに手配できます。そして、長期サポート（LTS）という名の「長期保証」が付いているため、一度セッティングすれば何年も安心して最高のパフォーマンスで料理を提供し続けることができるのです。

資格試験向けチェックポイント

IT資格試験において、Ubuntu Serverを含むLinuxサーバディストリビューションに関する知識は、「サーバOSの種類」や「OSS（オープンソースソフトウェア）」の文脈で頻出します。

| 資格試験 | 対策ポイント |
| :— | :— |
| ITパスポート | OSSの理解: Ubuntuがオープンソースソフトウェアであり、そのメリット（低コスト、高いカスタマイズ性、コミュニティの活発さ）を理解しておきましょう。サーバOSの選択肢として、Windows Serverとの違い（ライセンス形態、CUI中心の操作）を問われることがあります。 |
| 基本情報技術者 | ディストリビューションの特性: Linuxディストリビューション（Ubuntu, RHEL系など）が存在する理由と、Ubuntuの特徴（Debianベース、LTSの提供）を把握すること。また、パッケージ管理システムであるAPTの役割や基本的な概念（ソフトウェアの導入・更新を容易にする仕組み）は重要です。 |
| 応用情報技術者 | システム構築と運用: クラウド環境（IaaS）におけるOSの選択肢として、Ubuntu Serverがデファクトスタンダードの一つである点を理解し、そのセキュリティ機能（UFW、AppArmor）やコンテナ技術（Docker/Kubernetes）との親和性を問われることがあります。可用性や継続的インテグレーション/デリバリー（CI/CD）の文脈で、LTSの重要性を説明できるようにしておく必要があります。 |
| 共通事項 | CUI操作の基礎: サーバー管理は基本的にコマンドラインで行うため、Linuxの基本的なファイル操作や権限管理（chmod, chown）の概念は、どの試験でも応用力が問われます。 |