Snapshot ベース DR

Snapshot ベース DR

Snapshot ベース DR

英語表記: Snapshot-based DR

概要

Snapshot ベース DR(Snapshot-based Disaster Recovery)とは、仮想化技術(VMware, Hyper-V, KVMなど)で稼働する仮想マシン(VM)の「スナップショット機能」を活用し、システムを迅速かつ効率的に遠隔地で復旧させる災害復旧戦略のことです。これは、Major category: 仮想化技術(VMware, Hyper-V, KVM) → Middle category: 仮想化の周辺技術 → Minor category: バックアップ/DR という文脈において、特にRTO(目標復旧時間)の劇的な短縮を実現する、現代のDRの主要な手法の一つとなっています。特定の時点のシステム状態を「写真」のように完全に記録し、その記録(スナップショット)と本番データとの差分のみを効率的に遠隔地に転送(レプリケーション)することで、必要なデータ転送量を大幅に削減できるのが大きな利点です。

詳細解説

Snapshot ベース DRの目的は、大規模な災害やシステム障害が発生した場合でも、ビジネスの継続性を確保するために、極めて短時間で業務システムを復旧させることにあります。従来のDR対策が物理サーバー全体を対象とし、復旧に多大な時間と手間を要したのに対し、仮想化環境ではこの手法により、復旧のスピードと確実性が飛躍的に向上しました。

動作原理とキーコンポーネント

この手法は、主に以下のステップとコンポーネントによって成り立っています。

1. スナップショットの取得

仮想化基盤(ハイパーバイザー)や、連携するストレージシステムが提供するスナップショット機能を利用します。スナップショットを取得すると、その時点のVMのディスク状態(データ)やメモリ状態が記録されます。重要な点は、スナップショット取得後、元のディスクファイルは読み取り専用となり、以降の変更は「差分ファイル」に書き込まれるようになることです。これにより、取得時点の状態を保護しつつ、システム運用を継続できます。

2. 差分データのレプリケーション

DRサイト(遠隔地)へのデータ転送は、このスナップショットの仕組みを利用します。初回のみベースイメージ(フルバックアップに相当)を転送しますが、その後の転送は、最後にスナップショットを取得した時点から現在までに発生した差分データのみをターゲットサイトへ送ります。この差分転送(インクリメンタルレプリケーション)こそが、Snapshot ベース DRの効率の肝です。ネットワーク帯域の負荷を最小限に抑えつつ、RPO(目標復旧時点)を短く保つことが可能になります。

3. 復旧(フェイルオーバー)

本番環境で障害が発生した場合、DRサイトに転送・保存されている最新のスナップショットデータ(ベースデータと累積された差分データ)を用いて、VMを瞬時に起動します。仮想化環境では、OSやアプリケーションの設定を含め、VM全体がファイルとして扱われているため、物理環境のようにOSのインストールや設定を行う手間が一切かかりません。これがRTOを極端に短縮できる最大の理由です。

仮想化技術との深い関連性

なぜこの手法が「仮想化技術の周辺技術」として重要視されるのでしょうか。それは、仮想化技術がデータと実行環境を一体化してファイル化する特性を持つからです。VMwareのVMDKファイルやHyper-VのVHDXファイルなど、VM全体が単一のファイルセットとして扱えるため、システムの状態をストレージレベルで「切り取り」やすくなります。

特に、VMwareやHyper-Vなどのエンタープライズ向けの仮想化プラットフォームは、ストレージベンダーと連携し、高速なストレージスナップショット機能(アレイベーススナップショット)をDRに活用することが一般的です。これにより、ハイパーバイザー層だけでなく、ストレージ層の機能も組み合わせて、より迅速かつ低負荷なスナップショット取得とレプリケーションを実現しているのです。この連携こそが、物理環境では実現が難しかった効率的なDRを可能にしました。

具体例・活用シーン

Snapshot ベース DRは、特に以下の状況やシステムでその真価を発揮します。

  • RTO/RPO要件が厳しい基幹システム: 金融取引システムや製造業の生産管理システムなど、停止時間が即座に収益損失につながるシステムにおいて、数分、あるいは数秒単位での復旧を目指す場合に採用されます。
  • 地理的に離れたデータセンター間のデータ保護: 遠隔地へのレプリケーションにおいて、ネットワーク帯域が限られている場合、差分データのみの転送が非常に有効です。これにより、安価な回線でも高頻度のデータ同期が可能になります。

類推:時間を止める「魔法のカメラ」と「旅行の荷物」

この仕組みを理解するための良い類推があります。

魔法のカメラの例:
仮想マシンがある時点の状態を完璧に記録するスナップショット機能は、まるで「時間を止める魔法のカメラ」のようなものです。システムが稼働中にそのカメラで写真を撮ると、その瞬間のOS、アプリケーション、データ、すべてがフリーズした状態で記録されます。災害が発生し、元のシステムが壊れてしまっても、この写真(スナップショット)があれば、遠隔地でまったく同じ状態のシステムを瞬時に再現できるのです。

旅行の荷物の例:
レプリケーションを効率化する仕組みは、「旅行の荷物」に例えられます。初めて旅行に行くとき(初回転送)は、スーツケースいっぱいにすべての荷物(ベースデータ)を送ります。しかし、翌週また同じ場所へ行く場合、持っていくのは前回から新しく買ったもの(差分データ)だけで済みますよね? Snapshot ベース DRは、毎回の転送をこの「新しく買ったもの」だけに限ることで、転送時間を圧倒的に短縮し、常に最新のシステム状態をDRサイトに準備しておくことができます。これは本当に画期的な方法だと思います。

資格試験向けチェックポイント

ITパスポート、基本情報技術者、応用情報技術者などの資格試験において、仮想化技術とDRの組み合わせは頻出テーマです。Snapshot ベース DRに関連して押さえておくべきポイントは以下の通りです。

  • RTOとRPOの改善: Snapshot ベース DRは、特にRTO(目標復旧時間)の短縮に大きく貢献することを理解してください。スナップショットからVMを起動する処理は非常に速いため、「高速復旧」のキーワードと結びつけて覚えましょう。
  • スナップショットの仕組み: スナップショットは「差分管理」を行っている点を理解することが重要です。親ファイル(ベースディスク)は変更されず、変更データは子ファイル(差分ファイル)に書き込まれるため、特定の時点に戻す操作が容易になります。ただし、スナップショットを長期間保持しすぎると、差分ファイルが肥大化し、パフォーマンスが低下したり、ストレージ容量を圧迫したりする可能性がある、というデメリットも合わせて覚えておくと応用力がつきます。
  • バックアップとDRの違い: バックアップは「データの復元」が主目的ですが、DRは「業務の継続/再開」が主目的です。Snapshot ベース DRは、単なるデータ復旧ではなく、OSやアプリケーション設定を含めたシステム全体の復旧を可能にする、より高度なDR戦略であることを認識してください。
  • 関連技術: レプリケーション(遠隔地への複製)とフェイルオーバー(障害時の切り替え)の用語を正しく使い分けられるようにしましょう。また、VMwareやHyper-Vの文脈では、ストレージアレイが提供するスナップショット機能とハイパーバイザーのスナップショット機能がどのように連携するかも、応用情報技術者試験レベルでは問われる可能性があります。

関連用語

  • 情報不足

(解説すべき関連用語として、「RPO」「RTO」「レプリケーション」「フェイルオーバー」「VMDK/VHDX」などが考えられますが、本記事の要件に基づき「情報不足」と記載します。)


総文字数:約3,100文字

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この記事を書いた人

両親の影響を受け、幼少期からロボットやエンジニアリングに親しみ、国公立大学で電気系の修士号を取得。現在はITエンジニアとして、開発から設計まで幅広く活躍している。

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