オーケストレーション

オーケストレーション

オーケストレーション

英語表記: Orchestration

概要

オーケストレーションとは、コンテナ技術(DockerやPodmanなど)を用いて構築された環境において、多数のコンテナのデプロイ、スケーリング、ネットワーキング、ストレージ管理などを自動化し、一元的に管理する仕組みのことです。特に、従来のVM(仮想マシン)環境と比べてコンテナが非常に軽量であるため、アプリケーションを構成するコンテナの数が爆発的に増加する傾向があります。この複雑なコンテナ群を効率的かつ安定的に稼働させるために、オーケストレーションは不可欠な技術として位置づけられています。

詳細解説

1. なぜコンテナ環境でオーケストレーションが必要なのか(コンテナと VM 比較の文脈)

私たちが今、この「コンテナ技術(Docker, Podman)→ コンテナの基礎 → コンテナと VM 比較」という文脈でオーケストレーションを学ぶのは、コンテナ環境特有の運用上の課題を理解するためです。

従来のVM環境では、一台の物理サーバー上に少数の重厚なVMを稼働させ、それぞれのVM内でアプリケーション全体を動作させていました。VMは起動に時間がかかり、リソース消費も大きいため、管理対象の単位が比較的大きく、数も少なかったため、手動やシンプルなスクリプトによる管理も比較的容易でした。

しかし、コンテナ技術が登場し、アプリケーションがマイクロサービス化されると、状況は一変します。コンテナはVMよりもはるかに起動が速く、リソース消費も少ないため、一つのサービスを動かすために数十、数百のコンテナが同時に稼働することが一般的になりました。例えば、ウェブサイトのフロントエンド、ユーザー認証、データベース接続など、機能ごとにコンテナが分かれているのです。

この「数の暴力」とも言える膨大なコンテナ群を、人間が一つ一つ手動で管理するのは現実的ではありません。あるコンテナがクラッシュしたら再起動させる、ユーザーが増えたら自動的にコンテナ数を増やす(スケーリング)、サーバーのメンテナンスに合わせてコンテナを別のサーバーに移動させる――これらすべてを自動で行うのがオーケストレーションの役割なのです。オーケストレーションは、コンテナ環境を「単なる実行環境」から「自己修復能力を持つ安定したプラットフォーム」へと進化させる鍵となります。この自動化こそが、VM管理の時代には考えられなかった、大規模なシステムの俊敏な運用を可能にしているのです。

2. オーケストレーションの主要な目的と機能

オーケストレーションシステム(代表的なものにKubernetesがあります)は、複雑なコンテナ環境を安定運用するために、主に以下の目的を実現します。

a. デプロイメントと管理:
新しいバージョンのアプリケーションをリリースする際、ダウンタイムを最小限に抑えながら、安全にコンテナを入れ替える(ローリングアップデート)プロセスを自動化します。開発者が定義した理想の状態(宣言的設定)を常に維持しようと努めます。手動で何百ものコンテナを順番に入れ替えるのは、考えただけでも恐ろしい作業ですよね。

b. スケーリング(拡張・縮小):
アクセス負荷が増加した際に、必要な数のコンテナを自動的に追加し、負荷が下がればリソースを節約するためにコンテナを自動的に削除します。これにより、リソースの無駄遣いを防ぎつつ、高い可用性を保つことができます。VM環境では、VM自体の起動に時間がかかるため、このような即時的なスケーリングは困難でした。

c. 自己修復(ヒーリング):
コンテナが予期せず停止したり、サーバーが故障したりした場合、オーケストレーションシステムはそれを検知し、自動的に別の健全なサーバー上で新しいコンテナを起動します。これは、VM環境では実現が難しかった、アプリケーションレベルでの高い耐障害性を提供します。「止まらないシステム」を実現するための最重要機能と言えるでしょう。

d. ネットワーキングとロードバランシング:
多数のコンテナ間で効率的に通信を行い、外部からのアクセスを複数のコンテナに均等に振り分ける(負荷分散)機能を提供します。これにより、個々のコンテナがどこで動いているかを意識することなく、ユーザーはサービスを利用できます。コンテナが動的に増減しても、ネットワーク設定が自動で追従してくれるのは非常に便利です。

3. 動作原理:宣言的アプローチの採用

オーケストレーションシステムが、複雑な環境を安定的に管理できるのは、その「宣言的アプローチ」を採用しているからです。

従来の管理手法(命令的アプローチ)が「まずAをして、次にBをして、最後にCをする」という手順を記述するのに対し、オーケストレーションでは「最終的にアプリケーションをこの状態で動かし続けてほしい」という理想の状態だけを定義します(例:このコンテナを常に3つ稼働させておく)。

システムは、現在の状態と理想の状態を常に比較し、差分があれば自動的に是正措置(コンテナの起動、停止、移動など)を実行します。たとえば、コンテナが1つクラッシュして数が2つになったら、システムは自動的に「理想の状態(3つ)」に戻すために新しいコンテナを起動します。このアプローチこそが、複雑で大規模なコンテナ環境を安定運用できる秘訣であり、VM管理の煩雑さから解放される大きな利点なのです。

具体例・活用シーン

具体例:マイクロサービス環境での交通整理

オーケスト

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この記事を書いた人

両親の影響を受け、幼少期からロボットやエンジニアリングに親しみ、国公立大学で電気系の修士号を取得。現在はITエンジニアとして、開発から設計まで幅広く活躍している。

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