データプレーン

データプレーン

データプレーン

英語表記: Data Plane

概要

データプレーンとは、コンテナオーケストレーションシステム(KubernetesやOpenShiftなど)において、実際にユーザーのワークロードを実行し、ネットワークトラフィックを処理する領域を指す概念です。これは、システム全体の管理・制御を行う「コントロールプレーン」(制御平面)と対になっており、オーケストレーションの指示を具体的に実行する「現場」の役割を担っています。オーケストレーション(Kubernetes, OpenShift)という大きな枠組みの中で、データプレーンは「オーケストレーション概念」の中でも最も活動的で、ユーザー体験に直結する部分だと理解してください。

詳細解説

この「データプレーン」という概念は、オーケストレーション(Kubernetes, OpenShift)の仕組み、特に「オーケストレーションの役割」を深く理解するために欠かせません。データプレーンの主な目的は、コントロールプレーン(司令塔)から受け取った「あるべき状態」(Desired State)の指示に基づき、アプリケーションを安定して、かつ効率的に実行し続けることにあります。

目的と役割

データプレーンの最も重要な役割は、「実作業の遂行」です。私たちが普段利用しているWebサービスやアプリケーションは、データプレーン上で稼働するコンテナ(Pod)によって支えられています。具体的には、これらのPodをホストし、ユーザーからのリクエストに応答するために必要なCPU、メモリ、ストレージ、そしてネットワーク接続を提供する責任を負っています。

もしデータプレーンが不安定になったり停止したりすれば、ユーザーがアクセスするサービスは即座に停止してしまいます。つまり、データプレーンは、オーケストレーションシステムが提供する価値(高可用性、スケーラビリティ)を実際に具現化する、非常に重要な「実行層」なのです。

主要コンポーネント

Kubernetes環境におけるデータプレーンは、主に「Worker Node(ワーカーノード)」と呼ばれるサーバー群とその上で動くソフトウェアで構成されています。

  1. Worker Node (ワーカーノード):
    データプレーンの物理的な土台です。実際にPod(コンテナの集合体)がデプロイされ、アプリケーションが稼働するサーバー(VMまたは物理マシン)のことを指します。
  2. Kubelet(クーブレット):
    各Worker Node上で実行されるエージェントソフトウェアです。コントロールプレーンと常に通信し、ノードがPodの仕様(どのコンテナイメージを使うか、リソース制限など)を確実に実行するように監視・管理します。Kubeletはデータプレーンにおける「現場監督」のような存在だと考えるとわかりやすいですね。
  3. Container Runtime (コンテナランタイム):
    DockerやContainerdといった、コンテナの起動、停止、リソース分離などを担当するソフトウェアです。アプリケーションの実行環境そのものを提供します。
  4. Kube-Proxy(クーブプロキシ):
    ノード内およびノード間のネットワークルール(IPアドレスのルーティングや負荷分散)を維持する役割を持ちます。ユーザーからのトラフィックを、適切なPodに届けられるよう、データプレーンのネットワークを整備しています。

動作原理

データプレーンの動作は、コントロールプレーンからの指示に依存します。

まず、コントロールプレーン(例えばKubernetes Master Node)が「このWebアプリのインスタンスを5つ動かせ」という指示を出します。この指示はスケジューラーによって適切なWorker Nodeに割り当てられ、各ノードのKubeletに伝達されます。

Kubeletはその指示を受け取り、コンテナランタイムを通じてPodを起動します。Podが無事に起動した後、ユーザーからのアクセスを可能にするために、Kube-Proxyがネットワークのルーティング設定(Serviceの定義に基づく)をデータプレーン全体に適用します。これにより、外部からのリクエストは、設定された負荷分散のルールに従って、データプレーン上の稼働中のPodへと均等に振り分けられます。

データプレーンは、これらのPodがクラッシュしていないか、リソースを使いすぎていないかを絶えず監視し、異常があればKubeletを通じてコントロールプレーンに報告します。コントロールプレーンは、この報告を受けて、必要に応じてPodを再起動したり、別のノードに移動させたりといった是正措置を講じます。

このように、データプレーンはコントロールプレーンの計画を忠実に実行し、オーケストレーションの目標である「高可用性」と「スケーラビリティ」を現場レベルで実現し続けているのです。

具体例・活用シーン

データプレーンの存在は、クラウドサービスや大規模なシステム運用において不可欠です。

  • 負荷の高いECサイト運営:
    クリスマスセールなど、一時的にアクセスが急増するECサイトを想像してみてください。コントロールプレーンは、アクセス増加を検知し、「Podの数を現在の3倍に増やせ」とデータプレーンに指示します。データプレーン(Worker Node群)は、Kubeletの指示のもと、瞬時に新しいPodを起動し、Kube-Proxyが新しいPod群にもトラフィックを振り分け始めます。これにより、サイトがダウンすることなく、大量の注文を処理し続けることができます。データプレーンが迅速にスケールアウト(拡張)できるからこそ、ビジネスチャンスを逃さないわけですね。

  • 交通システムのアナロジー(比喩):
    データプレーンとコントロールプレーンの関係を、都市の交通システムに当てはめて考えると、その役割の違いが明確になります。

    1. コントロールプレーン(役場・交通管制センター): 交通ルールを決め、新しい道路の設計や信号機の設置計画を立てる場所です。彼らは「交通の流れをスムーズにする」という目標を設定しますが、自らは車を運転しません。
    2. データプレーン(道路・車・運転手): 実際に車(データやワークロード)が走行する道路、トンネル、橋、そしてその上を走る車そのものを指します。Worker Nodeは道路そのものであり、Podは道路を走る車、Kubeletは車の動きや道路状況を監視する現場の交通警官のようなものです。

    ユーザーがサービスにアクセスする行為は、車がデータプレーンという名の現場に到達し、目的の処理(サービス提供)を受けることに相当します。データプレーンがしっかりと整備された道路(高性能なノード)であり、交通警官(Kubelet)が的確に仕事をこなしているからこそ、オーケストレーションシステムは滞りなく機能できるのです。もし道路(データプレーン)が渋滞したり、車が故障したりすれば、サービス品質は直ちに低下してしまいます。

資格試験向けチェックポイント

ITパスポート、基本情報技術者、応用情報技術者といった資格試験において、近年、クラウドやコンテナ技術の出題が増加しています。「オーケストレーション概念」としてのデータプレーンを問われた場合、以下のポイントを確実に押さえてください。

  • 役割の区別: データプレーンは「実行・処理」を担当し、コントロールプレーンは「管理・計画・制御」を担当するという、明確な役割分担を理解することが最も重要です。試験では、この二つの役割を混
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この記事を書いた人

両親の影響を受け、幼少期からロボットやエンジニアリングに親しみ、国公立大学で電気系の修士号を取得。現在はITエンジニアとして、開発から設計まで幅広く活躍している。

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