Named User(ネームドユーザー)
英語表記: Named User
概要
ネームドユーザーとは、商用ソフトウェアライセンスの課金形態の一つで、特定の個人(名前やIDで識別されるユーザー)に対して利用権が付与される方式です。これは「ライセンス形態」の中でも特に厳格な「商用ライセンス」に分類され、「座席/CPU/コア課金」という詳細な課金カテゴリにおける「座席課金」の代表例として位置づけられます。企業がソフトウェアの利用者を正確に把握し、コンプライアンスを遵守しながらコストを最適化するために非常に重要なモデルだと考えてください。
詳細解説
このネームドユーザー方式が、なぜ「商用ライセンス」の中で広く採用されているのかを理解するには、その目的と仕組みを知る必要があります。
採用の目的と背景
高価な業務用ソフトウェアや、機密性の高い情報を取り扱うシステム(例:ERP、CRM、特定分野の専門ツール)において、ライセンスの不正利用は大きなリスクとなります。もしライセンスが「誰でも使える」状態になってしまうと、企業は本来支払うべきライセンス料を回避できてしまいますし、ベンダー側も収益を確保できません。
ネームドユーザーライセンスは、この問題を解決するために登場しました。ライセンスを「人」に紐づけることで、利用者を厳密に特定し、ライセンス数以上の利用を物理的に不可能にします。これは、ソフトウェアの資産管理(SAM: Software Asset Management)を行う上で、最もシンプルで確実な方法の一つなのです。
仕組み(座席課金としての側面)
ネームドユーザーライセンスの仕組みは非常に明確です。
- IDと個人情報の紐付け: 企業はソフトウェアベンダーと契約する際、利用する従業員一人ひとりに対して固有のユーザーID(通常は氏名やメールアドレスと連携)を発行します。ライセンス費用は、このIDの数に応じて発生します。
- 認証の必須性: ユーザーがソフトウェアを利用開始する際には、必ず割り当てられたIDとパスワードによる認証が必要です。この認証によって、ライセンスサーバーが「このユーザーは正当なライセンスを保持している」と確認します。
- デバイスの柔軟性: 重要な特徴として、ライセンスがPCやサーバーといった「デバイス」ではなく「人」に付与されているため、そのユーザーが複数のデバイス(例えば、オフィスPC、自宅のノートPC、出張先のタブレットなど)からアクセスすることが許可されている場合が多いです。ただし、同時に複数のデバイスで利用することは、通常はライセンス違反となります。
この方式は、「座席/CPU/コア課金」のカテゴリの中で、CPUパワーやコア数といったサーバー側のリソースではなく、エンドユーザーの利用権(論理的な座席)に基づいて課金されるため、「座席課金」の代表格として機能しているのです。
コスト管理上のメリット
ネームドユーザー課金は、利用人数が明確であるため、ライセンスコストの予測が非常に容易です。利用者が100人ならライセンスも100個必要、というように、コストが利用人数に比例して直線的に増加します。これにより、予算計画を立てやすく、また利用していないライセンスへの無駄な支出を防ぐことができるのは大きなメリットだと言えるでしょう。
具体例・活用シーン
ネームドユーザーライセンスは、特にSaaS(Software as a Service)形式で提供されるクラウドサービスや、企業向けの専門ツールで広く採用されています。
活用シーンの具体例
- ビジネスチャット・コラボレーションツール: 企業の全従業員が利用するコミュニケーションツールは、通常、従業員一人ひとりにアカウント(ライセンス)が付与されます。退職者が出ればアカウントを停止し、新入社員に新しいアカウントを発行します。
- クラウド型会計・人事システム: 企業の経理や人事の担当者など、特定の業務を行う担当者のみが利用するため、利用者の名前と役割が厳密に紐づけられたネームドユーザー方式が適しています。
アナロジー:会社が契約するスポーツジムの会員権
ネームドユーザーライセンスを理解するための最適なメタファーは、「会社が従業員のために契約するスポーツジムの個人会員権」です。
想像してみてください。あなたの会社は福利厚生の一環として、特定のジムと契約を結び、あなたを含む数名の社員に会員権を与えました。
- 会員権はあなた個人のもの(Named User)です。 会員証にはあなたの名前が記載され、入館時には指紋認証や顔認証(IDとパスワードの認証に相当)が必要です。
- 他人に譲渡できません。 あなたが体調不良でジムに行けなくても、あなたの同僚が代わりにその会員証を使って入館することはできません。
- 利用場所は自由です。 あなたが今日はA支店、明日はB支店を利用しても問題ありません。利用しているのは「あなた」という特定の一人だからです。
もしこれがネームドユーザーでなく、後に学ぶ「同時接続ユーザー」ライセンスであった場合、「この会社から、同時にジムを利用できるのは5名まで」という契約になります。誰が利用しても構いませんが、利用できる総数に制限がかかるのです。ネームドユーザーは、利用者が明確であるという点で、この個人会員権のメタファーが非常にしっくりくるはずです。
資格試験向けチェックポイント
IT資格試験において、商用ライセンスに関する問題は、コスト管理や法律遵守の観点から非常に重要です。ネームドユーザーに関しては、特に他の課金方式との比較で理解を深めておく必要があります。
- ネームドユーザー vs. 同時接続ユーザーの区別(最重要):
- ネームドユーザーは「利用者の数」で課金され、ライセンスが個人に固定されます。利用者が増えれば必ずコストが増えます。
- 同時接続ユーザー(コンカレントユーザー)は「同時に利用できる最大数」で課金されます。利用者が100人いても、同時にアクセスするのが20人までなら、20ライセンスで済みます。
- 試験対策: 「利用者が多いが、利用時間が分散している」環境でコスト効率が良いのはどちらか?(答え:同時接続ユーザー)といった応用問題に備えてください。
- コンプライアンスと内部統制:
- ネームドユーザー方式は、利用者を特定できるため、情報漏洩や不正アクセスが発生した場合の追跡が容易です。この点が、企業のコンプライアンス(法令遵守)や内部統制の強化に役立つとして出題されることがあります。これは「商用ライセンス」の大きなメリットの一つです。
- ライセンス形態の全体像の把握:
- ネームドユーザーが「座席/CPU/コア課金」の座席課金に該当することを理解し、CPU課金やコア課金(主にサーバーの性能で課金される)とは性質が異なることを区別できるようにしてください。
関連用語
本記事は「ライセンス形態(GPL,
