7nm プロセス(ナナノメートルプロセス)
英語表記: 7nm Process
概要
「7nm プロセス」とは、半導体の集積回路を製造する際の「プロセスルール」の一つであり、LSIチップ上のトランジスタの最小加工寸法が7ナノメートル(10億分の7メートル)級であることを示す技術指標です。このプロセスルールは、半導体技術(プロセスルール)の進化における重要なマイルストーンであり、特に2018年頃から高性能なCPUやGPUの製造に広く適用されました。微細化が進むことで、チップの集積度、動作速度、そして電力効率が劇的に向上し、現代の高性能コンピューティングを支える基盤となっています。
詳細解説
7nmプロセスは、半導体技術(プロセスルール)の歴史において、従来の10nmプロセスからさらに一歩踏み込んだ、非常に難易度の高い微細化を実現した世代です。この技術がなぜ重要なのかを、その目的と、半導体製造プロセスにおける革新的なコンポーネントに焦点を当てて解説します。
プロセスルール微細化の目的
半導体のプロセスルールを微細化する最大の目的は、チップの単位面積あたりに搭載できるトランジスタ(スイッチ)の数を増やすことです。これにより、同じ面積でより複雑で高度な処理能力を持つLSIを設計できるようになります(集積度の向上)。また、トランジスタ間の距離が縮まることで、電気信号の伝達時間が短縮され、結果としてチップの動作速度が高速化します。さらに、トランジスタ自体が小さくなることで、一つあたりの駆動に必要な電力が減少し、チップ全体の消費電力が低減します。7nmプロセスは、これらの性能向上を劇的に進める上で、非常に効果的だったのです。
FinFET構造の採用:立体化への挑戦
プロセスルールが10nmを下回る極めて微細な領域に入ると、従来の平面的なトランジスタ構造(プレーナ型)では、電流の漏れ(リーク電流)が深刻な問題となります。トランジスタが完全にオフにならず、無駄に電力を消費してしまうのです。これは、高性能化と低消費電力化の両立を目指す半導体製造プロセスにおいて、絶対に避けたい事態ですよね。
この課題を克服するために、7nmプロセスでは「FinFET(フィンフェット)」構造が不可欠となりました。FinFETは、トランジスタのゲート部分を立体的なヒレ(Fin)のような形状にすることで、ゲートが電流の通り道(チャネル)を三方向から取り囲み、電流制御能力を大幅に高める技術です。これにより、リーク電流を抑制しつつ、微細化の恩恵を最大限に引き出すことが可能になりました。FinFET技術は、プロセスルールという分野における、構造的なブレイクスルーであり、7nm世代のチップが電力効率を維持できた最大の理由の一つです。この立体的な構造の採用こそが、半導体製造プロセスにおける技術革新の象徴なのです。
EUVリソグラフィの本格導入
微細化が進むにつれて、半導体製造プロセス、特に回路パターンを形成するリソグラフィ工程は非常に複雑になります。7nmという極小のパターンをシリコンウェハ上に正確に転写するためには、従来の光露光技術の
