DAS(ダス)
英語表記: DAS (Direct Attached Storage)
概要
DAS(Direct Attached Storage)は、日本語で「直接接続ストレージ」と呼ばれ、サーバーやパソコンなどのホスト機器に、ストレージデバイス(HDDやSSD)をケーブルやインターフェースを介して直接接続する方式を指します。これは、「ストレージ接続とネットワーク」というカテゴリの中で最も基本的かつシンプルな接続形態であり、ネットワークプロトコル(TCP/IPなど)を介さずに、ホスト機器とストレージが一対一で結びつく点が最大の特徴です。具体的には、私たちが日常的に使用するPCの内蔵ドライブや、USB接続の外付けハードディスクなどがこのDASに分類されます。
詳細解説
DASの動作原理とタキソノミー内での役割
DASは、接続されたホスト機器がストレージデバイス(HDD, SSD, NVMe)を独占的に利用するために設計されています。データ転送は、ホスト機器とストレージ間のローカルなインターフェース(SATA、SAS、PCIe、USB、Thunderboltなど)を通じて行われます。この直接接続により、間にネットワーク機器や複雑なプロトコルを挟まないため、非常に高速かつ低遅延なデータアクセスを実現できるのが大きなメリットです。
この概念は、階層構造「ストレージデバイス(HDD, SSD, NVMe) → ストレージ接続とネットワーク → DAS/NAS/SAN」において、ローカル接続の基礎として位置づけられます。
パフォーマンスとインターフェースの進化:
DASは、データ転送の最下層であるブロックレベルでアクセスが行われます。ホスト機器のOSは、接続されたDASをあたかも自身のローカルディスクの一部であるかのように認識し、ブロックの読み書きを直接指示します。この直接性が、DASの低遅延かつ高速なパフォーマンスを実現する鍵となります。
特に近年、上位カテゴリである「ストレージデバイス」の技術革新、すなわちNVMe(Non-Volatile Memory Express)インターフェースの普及により、DASのパフォーマンスは飛躍的に向上しました。NVMeはPCI Expressバスを直接利用するため、従来のSATAやSASと比較して圧倒的な帯域幅と低レイテンシを実現します。高性能なNVMe SSDをサーバーに直接接続する構成は、最新のDASの形であり、特に大量のトランザクションを扱うデータベースや、動画編集、AI/機械学習のデータ処理基盤として非常に重宝されています。この進化は、ストレージ技術の進歩が、接続方式であるDASの価値をさらに高めている好例だと感じます。
主要コンポーネントと管理の限界:
DASは、ストレージデバイス本体、ホスト機器、そしてそれらを物理的に結びつける接続インターフェース(SATAケーブル、SASケーブル、USBケーブルなど)で構成されます。導入が容易で管理もシンプルですが、大きな制約として「共有性の低さ」が挙げられます。接続されたホスト機器以外からは、基本的にそのストレージにアクセスできません。また、ホスト機器の接続ポート数や物理的な筐体サイズに依存するため、拡張性にも限界があります。
大規模な環境で多数のサーバーがそれぞれ独自のDASを持つ場合、データが分散し、バックアップや冗長性の確保(RAID設定など)はサーバーごとに行う必要があり、集中管理が難しくなります。この管理の煩雑さを解消するために、ネットワークを利用したNASやSANといった共有ストレージ技術が発展してきたという背景があるのです。DASは、共有よりも「専用の高速アクセス」を優先する場合に、今もなお不可欠な存在なのです。
具体例・活用シーン
DASの概念は、IT環境のあらゆる場所で活用されています。そのシンプルさと速度が求められるシーンで真価を発揮します。
- 内蔵ストレージ(PC/サーバー):
私たちが日常的に使用するノートパソコンやデスクトップPCの内部に搭載されているSSDやHDDは、マザーボードのSATAやPCIeスロットに直接接続されており、最も身近なDASの例です。OSやアプリケーションの起動、動作速度は、このDASの性能に大きく依存します。 - 外付けバックアップデバイス:
USBやThunderboltでパソコンに接続する外付けハードディスクやポータブルSSDもDASの一種です。設定が不要で、ケーブルを挿すだけで特定のパソコンのバック
