PUF (Physically Unclonable Function)(パフ)

PUF (Physically Unclonable Function)(パフ)

PUF (Physically Unclonable Function)(パフ)

英語表記: PUF (Physically Unclonable Function)

概要

PUF(Physically Unclonable Function)は、「物理的に複製不可能な機能」を意味し、半導体チップ固有の識別情報を生成する革新的な技術です。これは、半導体を製造する際の微細なプロセスばらつき(トランジスタのサイズや特性のわずかな違い)を意図的に利用する点が最大の特徴です。この技術により、チップ自体が持つ物理的な特性が「デジタル指紋」となり、非常に高いセキュリティを担保します。

この機能は、半導体技術(プロセスルール, FPGA, ASIC)の分野において、特に信頼性・安全性、そしてセキュア半導体の実現に欠かせない要素です。PUFによって生成された鍵は外部からの読み取りが極めて困難であり、デバイス認証や暗号化のルートオブトラスト(信頼の基点)を提供するために利用されます。

詳細解説

PUFの最大の目的は、デバイスごとにユニークで、かつ複製や改ざんが極めて困難な秘密鍵や識別子を提供することです。IoTデバイスの急増に伴い、個々のデバイスの真正性を保証し、サプライチェーン全体での信頼性・安全性を確保する必要性が高まっており、PUFはその中核を担います。

動作原理とプロセスばらつきの利用

PUFの根幹は、半導体技術の限界とも言える「プロセスばらつき」を逆手に取るところにあります。どんなに精密なプロセスルールを用いて製造された半導体であっても、トランジスタのドーピング濃度やゲート酸化膜の厚さなどには、避けられない微細でランダムな違いが生じます。PUFは、この物理的なばらつきをセキュリティの源泉として利用します。

PUF回路(例:SRAM PUF、アービタPUFなど)の動作は、以下のステップで説明されます。

  1. チャレンジ(入力): 外部から特定のデジタルパターン(チャレンジ)がPUF回路に入力されます。
  2. 物理的応答の利用: 回路は、そのチップ固有の物理的なばらつき(例えば、競合する
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この記事を書いた人

両親の影響を受け、幼少期からロボットやエンジニアリングに親しみ、国公立大学で電気系の修士号を取得。現在はITエンジニアとして、開発から設計まで幅広く活躍している。

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