REST API

REST API

REST API

英語表記: REST API

概要

REST API(Representational State Transfer Application Programming Interface)は、Web上で動作するソフトウェア同士が、効率的かつ標準化された方法で通信し、データをやり取りするための設計原則に基づいたインターフェースです。これは、私たちが今アクセスしているハードウェアとソフトウェアの関係において、特にインターネットを介した連携、すなわちWeb/クラウド APIの文脈で最も広く利用されている「APIとSDKによる橋渡し」の具体的な実現手法だと言えます。HTTPプロトコルを基盤としており、サーバー上の特定のリソース(データや機能)に対して、クライアント側から統一された操作(取得、作成、更新、削除など)を行うことを可能にしているのが特徴です。

詳細解説

REST APIは、現代のクラウドコンピューティング環境において、なぜこれほどまでに重要なのでしょうか。その答えは、異なるシステム間、すなわちモバイルアプリやWebブラウザ(クライアント側のソフトウェア)と、データを提供するサーバー(サーバー側のソフトウェアとそれを動かすハードウェア)との間に、シンプルで堅牢な通信経路を確立できる点にあります。この設計思想のおかげで、多様なデバイスやプラットフォームが、共通のインターネット基盤上で迷うことなく連携できるわけです。

この設計思想の根幹には、「ステートレス性(Statelessness)」があります。これは、サーバーがクライアントからの個々のリクエストを処理する際に、過去のリクエストに関する情報を一切保持しないという原則です。例えば、あなたがWebサイトでいくつかの商品をカートに入れたとしても、次のリクエスト(例えば住所入力)の際には、サーバーは「これは以前カートに商品を入れた人だ」という情報をセッションとして保持せず、すべてをリクエスト自体に含めて処理します。このステートレス性のおかげで、サーバーはリクエストごとに独立して処理できるため、負荷分散が容易になり、大規模なサービスでも安定して動作できるようになるのです。これは、Web/クラウド APIとして膨大な数のユーザーを捌くために非常に重要な特性ですね。

REST APIの主要な要素は「リソース」と「操作」です。リソース指向と呼ばれるこの考え方は、操作対象を明確に定義することに焦点を当てています。

  1. リソース (Resource): これは、URI(Uniform Resource Identifier)によって一意に識別されるデータや機能の単位です。例えば、/api/users/101はID 101のユーザー情報というリソースを指します。
  2. 操作 (Operation): これは、HTTPプロトコルが提供する標準的なメソッド(動詞)を用いてリソースに対して行われる動作です。

| HTTPメソッド | 目的と操作 (CRUD対応) |
| :— | :— |
| GET | リソースの取得(参照:Read) |
| POST | 新しいリソースの作成(Create) |
| PUT/PATCH | 既存のリソースの更新(Update) |
| DELETE | リソースの削除(Delete) |

このように、特定のリソース(名詞)に対して、統一された操作(動詞)を行うという「統一インターフェース」の原則が、REST APIの大きな強みです。クライアント側は、どのようなサービスであっても、この統一されたルールに従ってリクエストを送れば良いため、開発効率が飛躍的に向上します。まさに、異なるソフトウェア間のコミュニケーションを円滑にするための最高の「APIとSDKによる橋渡し」の仕組みだと感心します。

データ形式としては、軽量で人間にも読みやすいJSON(JavaScript Object Notation)や、構造化されたXMLが主に使用されますが、近年では、特にWeb連携においてはJSONが圧倒的な主流となっています。

具体例・活用シーン

REST APIは、私たちが日常的に利用しているほぼすべてのインターネットサービスで活躍しています。特に、Web/クラウド APIの文脈で見てみると、その恩恵は明らかです。

  • SNS連携: あなたが新しいWebサービスに登録する際、「Googleでログイン」や「X(旧Twitter)でログイン」といったボタンを見たことがあるでしょう。この裏側では、サービス提供者がGoogleやXの提供するREST APIを呼び出し、ユーザーの認証情報やプロフィールデータの一部を取得しています。これは、異なるソフトウェア(あなたのサービスとSNSプラットフォーム)が、標準化された手順で安全に情報を交換する「橋渡し」の典型例です。
  • 在庫管理システムとECサイトの連携: 企業のECサイト(ソフトウェア)が商品の在庫数を確認・更新する際、倉庫の在庫管理システム(別のソフトウェアとそれを動かすハードウェア)に対してREST APIでリクエストを送ります。在庫数をGETで取得したり、商品が売れたらPOSTやPUTで在庫数を減らす処理を実行します。この連携により、リアルタイムで正確な在庫情報を顧客に提供できるわけです。

アナロジー:国際的なホテルサービスの受付

REST APIの動作を理解するために、少し親しみやすい比喩を使いましょう。

あなたが世界中にある高級ホテルチェーン(サーバー群)を利用する旅行者(クライアント)だと想像してください。このホテルチェーンは、どの国の支店(異なるハードウェアやシステム)でも、共通のサービスを提供しています。

REST APIの比喩的役割分担

  1. リソース(URI): ホテルが提供する「特定のサービス」の窓口です。例えば、「予約管理窓口」「ルームサービス窓口」「会計窓口」など、目的によって場所が明確に分かれています。URIは、その窓口の住所(例:/rooms/101/status)です。
  2. HTTPメソッド(操作): 窓口で行う「共通の手続きの種類」です。
    • GET: 「予約状況を教えてください」と情報を尋ねる。
    • POST: 「新しいルームサービスを注文したいです」と新しいリクエストを作成する。
    • PUT/PATCH: 「チェックアウト時間を変更したいです」と予約情報を更新する。
  3. ステートレス性: あなたが部屋に戻っても、ホテル側はあなたが
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この記事を書いた人

両親の影響を受け、幼少期からロボットやエンジニアリングに親しみ、国公立大学で電気系の修士号を取得。現在はITエンジニアとして、開発から設計まで幅広く活躍している。

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