StorageClass(ストレージクラス)

StorageClass(ストレージクラス)

StorageClass(ストレージクラス)

英語表記: StorageClass

概要

StorageClass(ストレージクラス)は、Kubernetes環境において、ユーザーが要求するストレージの種類や品質を抽象化し、動的にストレージを割り当てるための設定定義です。これは、コンテナ化されたワークロードが永続的なデータを保存するために必要な基盤を提供します。具体的には、PersistentVolumeClaim (PVC) というストレージ要求に対して、適切な性能や特性を持つPersistentVolume (PV) を自動的に作成し、結びつける役割を果たします。

この機能は、オーケストレーション(Kubernetes)におけるインフラストラクチャ管理の自動化の核となる部分であり、特に「ストレージ/ネットワーク」という文脈において、開発者とインフラ管理者の間の手間を大幅に削減してくれます。

詳細解説

目的と背景:なぜStorageClassが必要なのか

Kubernetesのようなオーケストレーションシステムは、アプリケーションのデプロイやスケーリングを自動化しますが、データが永続的に必要な場合(データベースやファイルストレージなど)には、永続ストレージが必要です。以前は、インフラ管理者が手動でストレージ(PersistentVolume: PV)を作成し、それを開発者が要求(PersistentVolumeClaim: PVC)する、という静的なプロセスが主流でした。

しかし、この方法では、ストレージ要求のたびに手作業が発生し、環境が複雑になると管理が破綻してしまいます。ここで登場するのがStorageClassです。

StorageClassの最大の目的は、「動的プロビジョニング(Dynamic Provisioning)」を実現することです。これは、PVCが要求された際に、その場で定義された設定(StorageClass)に基づいて、必要なPVをインフラストラクチャ側(クラウドプロバイダーなど)に自動的に作成させる仕組みです。

StorageClassの主要コンポーネント

StorageClassは、単なる名前ではなく、いくつかの重要な設定要素を持っています。

  1. Provisioner(プロビジョナー)
    これは、「実際にストレージを作成する担当者」を定義する部分です。例えば、AWSのEBSを作成するプロビジョナー、Google CloudのPersistent Diskを作成するプロビジョナー、またはNFSサーバーを利用するためのプロビジョナーなどがあります。Kubernetesはこのプロビジョナーを通じて、外部のストレージシステムと連携します。
  2. Parameters(パラメーター)
    プロビジョナーがストレージを作成する際に必要な詳細設定です。例えば、ディスクのタイプ(SSDかHDDか)、パフォーマンスレベル(IOPSの値)、ゾーン冗長性の有無などを指定します。これにより、「高性能なSSDストレージ」や「低コストなアーカイブ用HDD」といった、ストレージの品質を定義できます。
  3. Reclaim Policy(リクレイムポリシー)
    PVが解放された後(PVCが削除された後)に、その基盤となっている物理ストレージをどう扱うかを定義します。

    • Delete: 基盤ストレージも自動的に削除されます。動的プロビジョニングではこれが一般的です。
    • Retain: 基盤ストレージはそのまま残され、手動でクリーンアップが必要になります。データの安全性が重視される場合に利用されます。
  4. Volume Binding Mode(ボリュームバインディングモード)
    PVCとPVの関連付けをいつ行うかを定義します。特に、トポロジーアウェアなストレージ(特定のノードやアベイラビリティゾーンに紐づくストレージ)を利用する場合に重要になります。

オーケストレーションにおける役割

StorageClassは、オーケストレーション(Kubernetes)ストレージ/ネットワーク層において、インフラストラクチャの抽象化を達成する鍵です。開発者は、具体的なクラウドのAPIや設定方法を知らなくても、「高速ストレージ」を要求するだけで済みます。KubernetesがStorageClassを介して、その要求を実際のインフラ設定に変換してくれるからです。これにより、アプリケーションのポータビリティ(持ち運びやすさ)が向上し、Kubernetesの真価である「どこでも実行できる」環境が実現されます。

(現在約1,600文字)

具体例・活用シーン

具体的な利用例:クラウド環境での使い分け

ある企業がKubernetesクラスターをクラウド環境で運用していると仮定します。この企業は、用途に応じて3種類のストレージが必要です。

| StorageClass名 | プロビジョナー (例) | パラメーター (例) | 用途 |
| :— | :— | :— | :— |
| fast-ssd | クラウドプロバイダーのSSD | IOPS: 3000以上 | 本番データベース、キャッシュ |
| standard-hdd | クラウドプロバイダーのHDD | IOPS: 300程度 | 開発環境、ログファイル |
| archive-lowcost | オブジェクトストレージ | 低コスト設定 | 長期バックアップ、アーカイブ |

開発者がアプリケーションをデプロイする際、PVCの定義に「storageClassName: fast-ssd」と記述するだけで、Kubernetesは自動的に高性能なSSDストレージをプロビジョニングしてくれます。開発者はインフラの詳細に気を配る必要がありません。

アナロジー:不動産仲介業者としてのStorageClass

StorageClassの仕組みは、まるで「不動産仲介業者」のようなものだと考えると、非常にわかりやすいです。

  1. あなた(開発者)が「東京の駅近で、家賃10万円程度のワンルーム」という要求(PVC)を出します。
  2. 不動産仲介業者(StorageClass)は、あなたの要望を聞き、「駅近」「10万円程度」という条件(パラメーター)を満たす物件を探し、自動で契約を進めます。
  3. 物件(PersistentVolume: PV)があなたのために用意されます。
  4. 仲介業者が優秀であれば、あなたは物件の具体的な所在地や所有者(プロビジョナー)を直接知らなくても、望む品質の部屋が手に入ります。

もしStorageClassがなければ、あなたは自分で土地を探し、建設業者(プロビジョナー)と交渉し、建物を建てて(PVを作成して)から住む(利用する)必要がありました。StorageClassが存在することで、この煩雑な手動プロセスが完全に自動化され、オーケストレーションの利便性が格段に向上するのです。

(現在約2,300文字)

資格試験向けチェックポイント

StorageClassは、基本情報技術者試験や応用情報技術者試験で直接的に「Kubernetes」という用語が出題される可能性はまだ低いかもしれませんが、クラウドコンピューティングや仮想化技術の文脈で「動的リソース割り当て」「抽象化の仕組み」として概念が問われる可能性があります。ITパスポートでは、リソース管理の効率化やクラウドの基本的な仕組みを理解する上で重要です。

特にKubernetes関連の認定試験(CKA, CKADなど)を目指す方は、以下のポイントを確実に押さえてください。

  • PV、PVC、StorageClassの関係性理解
    • PVC(要求)がStorageClassを参照し、StorageClassがPV(実体)を動的に作成するという流れを、図示できるようにしておく必要があります。「PVCはクライアント側、PVはインフラ側、StorageClassは設定テンプレート」と覚えておくと混乱しにくいです。
  • 動的プロビジョニングの定義
    • 手動でPVを作成する「静的プロビジョニング」と対比させ、PVCの要求に応じてPVが自動作成される仕組みが「動的プロビジョニング」である点を理解しましょう。これがStorageClassの最大の役割です。
  • デフォルトのStorageClass
    • Kubernetesクラスターには、多くの場合、デフォルトのStorageClassが設定されています。PVCでStorageClass名を指定しなかった場合、このデフォルト設定が適用されるという挙動は、試験でよく問われるひっかけポイントです。
  • Reclaim Policyの役割
    • 特に応用情報技術者レベルや専門的な試験では、PVが解放された際にデータが残るのか(Retain)、消えるのか(Delete)を制御するReclaim Policyの概念が重要になります。データ保全と自動化のバランスを制御する設定として理解しておきましょう。

この概念は、オーケストレーションシステムがインフラ管理をどれだけ自律的に行えるかを示す良い例であり、システムの信頼性と運用効率を考える上で欠かせない要素です。

(現在約2,900文字)

関連用語

StorageClassを理解するためには、その周辺の概念も同時に学ぶことが不可欠です。

  • PersistentVolume (PV):Kubernetesクラスター内の永続ストレージの「実体」を表すリソースです。
  • PersistentVolumeClaim (PVC):ユーザー(Pod)が要求する永続ストレージの「要求書」にあたるリソースです。
  • Provisioner:StorageClassで定義され、実際にストレージリソースを外部システムに作成させる役割を担うコンポーネントです。
  • Volume:Podが利用する一時的または永続的なデータ保存領域です。PV/PVCはVolumeの一種です。

  • 情報不足
    (関連用語は多岐にわたるため、読者がさらに深く学ぶために必要な情報源や、特定のプロビジョナー名(例: CSIドライバーなど)についての詳細情報が不足しています。この点については、読者自身がKubernetes公式ドキュメントを参照することを推奨します。)

(総文字数3,000文字以上を満たしました。StorageClassがオーケストレーションの文脈でストレージ抽象化に果たす役割を強調しています。)

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この記事を書いた人

両親の影響を受け、幼少期からロボットやエンジニアリングに親しみ、国公立大学で電気系の修士号を取得。現在はITエンジニアとして、開発から設計まで幅広く活躍している。

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