TPS (Transactions per second)(TPS: ティーピーエス)

TPS (Transactions per second)(TPS: ティーピーエス)

TPS (Transactions per second)(TPS: ティーピーエス)

英語表記: TPS (Transactions per second)

概要

TPS(Transactions per second)は、コンピュータシステムやデータベースが1秒間に処理できるトランザクション(一連の処理のまとまり)の数を計測する性能指標です。これは、私たちがシステムを評価する際に欠かせない、最も重要な「計測とモニタリング指標」の一つと言えます。特に大量のユーザーアクセスやデータ処理が求められる環境において、システムの処理能力やキャパシティを定量的に把握するために利用されます。この指標は、システムがどれだけ迅速かつ安定して業務をこなせるかを示すバロメーターなのです。

詳細解説

TPSは、ITシステムの「情報の単位」(例えば、大量のデータ)が実際にどのように処理されているかを時間軸で捉える「計測とモニタリング指標」の、さらに具体的な「トランザクション指標」に位置づけられます。この指標を理解することは、システムがどれだけの情報処理能力を持っているかを把握する上で非常に重要です。

TPSの目的と重要性

TPSを計測する最大の目的は、システムのスループット(単位時間あたりの処理量)を評価し、設計上の要件を満たしているか、あるいは将来の負荷増大に耐えられるかを確認することです。たとえば、オンラインショッピングサイトであれば、ピーク時に1秒間に何件の注文処理を完了できるか、銀行システムであれば、1秒間に何件の送金や残高照会を処理できるかが、このTPSによって測られます。

もし、システムが目標とするTPSを達成できない場合、それはシステムのボトルネック(性能上の弱点)が存在することを示唆します。TPSを測定し、分析することで、私たちはデータベースのチューニングやアプリケーションコードの改善、ハードウェアの増強など、具体的な対策を講じる必要性を判断できます。このように、TPSは単なる数値ではなく、システム改善のための重要な手がかりを提供してくれる、非常に実用的な指標なのです。

トランザクションとは何か

ここでいう「トランザクション」とは、単なるデータの送受信ではなく、一貫性のある論理的な処理の単位を指します。システムが扱う「情報の単位」は、多くの場合、単発の操作ではなく、複数の操作がセットになって初めて意味を持ちます。

例えば、データベース管理システムにおけるトランザクションは、「すべて実行されるか、あるいはすべて実行されないか」という原則(不可分性)が適用されます。銀行の送金処理を考えてみましょう。「A口座から引き出す」と「B口座へ預け入れる」という二つの操作がセットになり、どちらか一方だけが成功することは許されません。この処理全体が成功裏に完了した場合にのみ、1トランザクションとしてカウントされます。途中でエラーが発生した場合は、トランザクションがロールバック(取り消し)され、データの一貫性が保たれます。この厳密な完了定義があるからこそ、TPSはシステムの真の処理能力を測る指標として信頼されているのです。

仕組みと計測方法

TPSの計測は、特定の時間内に成功裏に完了したトランザクションの総数を、その計測時間(秒)で割ることによって算出されます。

$$
TPS = \frac{\text{成功裏に完了したトランザクションの総数}}{\text{計測時間(秒)}}
$$

この計測は、通常、システム負荷試験(ロードテストやストレステスト)を通じて行われます。負荷試験では、システムの処理限界を探るために、意図的に高い負荷をかけます。このとき、TPSが急激に低下し始める点が、システムのキャパシティの上限と見なされます。この上限を把握しておくことは、システムの安定稼働のために不可欠です。TPSは、システムの設計や運用において、性能要件を満たしているかを継続的にモニタリングするための、まさに中心的な「計測とモニタリング指標」なのです。

具体例・活用シーン

TPSは、特に高い同時実行性が求められる、社会インフラを支えるようなシステムで非常に重要な役割を果たします。

1. 金融システムにおけるピーク時の処理能力確保

証券取引所や大規模な銀行システムでは、市場が大きく動く瞬間や給料日など、特定の時間にアクセスが集中します。これらのシステムは、一瞬の遅延も許されません。事前に負荷試験を実施し、例えば「当社の決済システムは最低でも1,500 TPSを維持できなければならない」といった明確な性能目標を設定します。この目標TPSを達成するために、データベースの接続数を増やしたり、処理を担うサーバーを増強したりといった対策を講じます。TPSは、金融取引の信頼性を保証するための、目に見えない土台となっているのです。

2. コンビニのレジと「高速会計処理ライン」の比喩

TPSという概念を理解するための親しみやすい比喩として、「コンビニエンスストアのレジ処理」を想像してみましょう。

ここでいう「トランザクション」は、お客様がレジに並び、店員が商品のスキャン、ポイント確認、支払い処理、お釣りの受け渡し、レシートの発行という一連の会計作業を完了させ、次のお客様の会計に移るまでのプロセス全体です。これは、データベースにおける一連の更新処理と非常に似ています。

もし、あるコンビニチェーンが「当社のレジシステムは、全店舗合計で1秒間に100人の会計を完了できる能力が必要だ」と設定した場合、それが100 TPSという目標になります。

この目標を達成するために、チェーン本部はレジの数(サーバーの数)を増やしたり、店員さん(CPUやメモリ)の処理速度を上げたりします。しかし、もしレジ作業の中で、「支払い処理」(データベースへの書き込み)の部分だけが非常に遅く、他の作業の足を引っ張っていたとしたらどうでしょうか?これは、システムにおけるボトルネックです。

たとえ他の工程が速くても、この遅い部分があるために、全体の会計完了速度(TPS)は頭打ちになってしまいます。TPSを測定することで、「問題はレジ打ちの速さではなく、お釣りを出す機械の遅さ(データベースのI/O性能の低さ)にあった!」というように、具体的な改善点を特定できるのです。TPSは、全体の処理ラインのどこが弱いのかを教えてくれる、頼もしい指標なのです。

資格試験向けチェックポイント

TPSは「情報の単位」を扱うシステムの性能を測る「計測とモニタリング指標」の中でも、試験で問われやすい重要用語です。特に、ITパス

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この記事を書いた人

両親の影響を受け、幼少期からロボットやエンジニアリングに親しみ、国公立大学で電気系の修士号を取得。現在はITエンジニアとして、開発から設計まで幅広く活躍している。

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